末期がんからの生還者たち

すい臓がん<1>「患者の列を飛ばして診察室に呼ばれ…」

池田実さん(提供写真)

■亡くなった義兄の笑顔が浮かんだ

 妻が通院していた病院は、自宅から徒歩5分の「千葉徳洲会病院」である。池田さんは内科を訪ね、問診、レントゲン検査、血液検査、CT画像検査などを受診。1週間後、検査結果を聞きに再び病院を訪ねた。

 内科の診察室前には、大勢の患者さんが診察の順番を待っていた。1時間ほど待ったが、それでもまだ順番が来ない。池田さんは看護師に、「すみません。きょうは時間がありませんので、また来ます」と告げた。すると看護師が医師に確認のため診察室に入って間もなく、10人ほどが列をなす患者さんたちをすっ飛ばして、「診察室にお入りください」と声がかかった。

 あまりの早い対応に、不安を抱いた池田さんに、診察室でCTの画像モニターをにらんでいた女性医師がこう告げた。

「すい臓がんですね。病期は相当に進行しています。手術について、院長がどのように判断するかわかりませんが、とにかくきょうから入院してください」

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