愉快な“病人”たち

胃の5分の4を摘出 アントニオ古賀さんはがんが心の転機に

「がんになって初めて痛みを知った」とアントニオ古賀さん/(C)日刊ゲンダイ

 また、子供の頃から健康な上に、少しでも具合が悪いとすぐ病院に行くタイプでした。プロになってからはなおさら「忙しいからあとで」じゃなく、すぐ受診。周りで入院した人がいると「自分が悪いんだろう。放っておくからだ」と思っていたくらいです。自分はストレスもためないし、ケアも怠っていないから、病気になんかならないと信じていたんです。

 でも、自分ががんになって初めて痛みを知り、励まされ、そして「悲しかったら泣けばよかったんだ」と気づきました。親から「男は泣くもんじゃない」と教育されてきた年代です。「何でもウエルカム。ポジティブに生きよう」と思い過ぎた結果、苦しい時も誰にも頼ることなく、相談もせず、泣く代わりに笑ってきました。「苦労は栄養になる」とか言って平気な顔をしてきたことが、自分でも気づかないうちにストレスになっていたのかもしれません。

 もう一つ考えられる原因は、春2カ月、秋2カ月の断酒を、60歳を機にやめたことです。毎年春と秋に大きなリサイタルがあるので、その前の2カ月はストイックに断酒していたんです。がんになったのは、20年間続けたそのパターンをやめて7年目でした。

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