これまでの健康常識は捨てていい

初期なら軽い運動で治ることも 風邪に「安静」がNGな理由

適度な運動がいい(写真はイメージ)
適度な運動がいい(写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

 風邪をひいたら安静にして、体力を温存しなければならない。そう考えている人も多いでしょう。しかし、「池袋大谷クリニック」の大谷義夫院長はそれを否定します。

「初期の風邪なら、軽い運動をすることで治る可能性があります。運動によって免疫がアップするからです」

 適度に運動をすると、ウイルス感染細胞を攻撃するNK細胞や、粘膜の免疫を強化する唾液中分泌型IgAなどが増加し、免疫機能が高進することが研究で明らかになっています。

 マウスによる実験では、ウイルス感染4時間後から4日間、毎日30分運動負荷をかけると、感染防御力が高まるという結果が出ています。

 このことから人間の場合も、風邪をひいてからの運動が有効だと考えられるのです。

「実際、アメリカのある病院では、1人の職員が風邪をひくと、皆がジョギングをしてサウナに入るそうです。私自身も『ひいたかな?』と思ったら、温水プールで5分ほど泳ぐことにしています」

 わずか5分の水泳でも免疫が上がり、「たいがい風邪が治る」のだとか。ただし、激しい運動をするのは逆効果です。強い運動負荷がかかると、免疫をつかさどるリンパ球やNK細胞が減少します。先のマウス実験でも、1日当たりの運動時間が150分の群は、30分の群より25日後の生存率が低いとの結果が出ています。

「激しい運動をすると免疫が下がり、かえって病状が悪化してしまいます。風邪を治すためなら、ウオーキングやヨガ、水泳などのごく軽い運動を、短時間行うだけにとどめてください」

 もうひとつ、タイミングも重要です。運動効果が望めるのは、「寒けがする」「だるい」「頭痛がする」といった初期症状が出始めた頃。セキや鼻水、熱が出る頃には手遅れです。安静にして、自然と治るまで待ちましょう。

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