Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

原因は口腔性交と経験人数 中咽頭がんは男性が高リスク

 男性にとって見逃せないのは、HPVの発がんリスクが女性より高いことです。女性の経験人数が多いほどリスクは増します。実際にダグラスさんはセックス依存性だったといわれています。

 ですからHPVワクチンは、男女関係なく接種すべきなのです。そうすれば、子宮頚がんも中咽頭がんも予防できます。実際、欧米では男性の接種が普及しています。

 参考になるのが、日本と同じ女性のみ接種のハンガリーと周辺国のデータです。ハンガリーに隣接するクロアチアとオーストリアは男女接種で、中咽頭がん罹患率はハンガリーの5割未満と少ない。男女接種の効果は明らかでしょう。

 ダグラスさんがステージ4の末期から復帰したように、HPVによる中咽頭がんは治りやすいのも特徴です。今や治療法の選択は感染の有無で変わるようになっています。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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