気鋭の医師 注目の医療

誤嚥性肺炎では抗菌薬を使わない治療も選択肢のひとつ

寺本信嗣医師(C)日刊ゲンダイ

「それに誤嚥性肺炎は急激に悪化する普通の肺炎と違って、最初は肺炎らしい咳や痰の症状は出ず、悪化していることに気づかない場合が多い。それで『亡くなる直前まで元気だったのに……』と、ご家族はビックリされてしまうのです」

 初期の誤嚥性肺炎を疑うのは「微熱」「元気がない」「食欲がない」といった症状。60代以上で「なんとなくおかしい」と思ったら検査を受けた方がいい。では、どんなことが予防になるのか。

「のみ込む力を鍛えるには、嚥下と発声の筋肉はつながっているので、よく話す、歌う、朗読でもいいです。よく話せば唾液の分泌が促されて、口腔内も清潔に保てます。また、睡眠薬や精神安定剤などの薬は飲まない方がいい。寝る姿勢は、枕を少し高めにする。肺炎球菌ワクチンを打つことも大切です」

▽山梨県出身。1986年山形大学医学部卒。東京大学医学部付属病院勤務後、米ノースカロライナ州立大学留学。国立病院機構東京病院、筑波大学病院ひたちなか社会連携教育研究センター教授などを経て、2017年から同院。〈所属学会〉日本内科学会、日本呼吸器学会、日本老年医学会など。

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