認知症だと思っていたら肝性脳症 その症状と検査法を知る

1月に岡山で起きた事故現場(C)共同通信社

 こう指摘するのは、奈良県立医科大消化器・内分泌代謝内科の吉治仁志主任教授。肝性脳症であれば、認知症の薬は効かない。

 さらに肝硬変の患者のうち3分の1が、症状がごく軽く、通常の診療では鑑別が非常に難しい潜在性肝性脳症だという。

「肝性脳症は症状の程度によってⅠ度からⅣ度に分類されます。Ⅰ度の前段階が潜在性肝性脳症で、20%が半年以内に症状が進んだⅡ度へ移行するといわれています」

 Ⅱ度まで進むと「時間・場所がわからなくなる」「物の取り違え」「お金をまく、化粧品をゴミ箱に捨てるなどの異常行動」「眠りに陥りがちでうとうとしている」などの症状が顕著になる。交通事故や日常での転倒・転落につながりやすく、こうなる前に手を打つことが重要だ。

■通常の診察では見過ごされる

 潜在性も含め肝性脳症を調べる検査は、血液中のアンモニア濃度測定検査と行動で認知機能を測るテスト。後者はランダムに散らばった番号を1から順に線で結ぶ時間を測定するナンバーコネクションテストや、ブロックを見本と同じ組み方に並べるテストなどだ。

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