末期がんからの生還者たち

肺がん<1>自宅で家族会議を3時間 長男の言葉に涙が出た

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「もちろん余命については、考えるだけで涙が出てきます。それとこれから、いったい治療費がいくらかかるのかという不安が頭から消えません。どこからその金を工面したらいいのでしょうか」

 高額な治療費の支払いは、がん患者に共通した悩みである。年金生活者の橋本さんも例外ではなかった。

 真っ先に親族たちの顔が浮かぶ。しかし、親族たちとの間に深い事情があり、プライドもあって「金を貸してくれ」とは言いにくい。

■「俺たちの生活も大変だけど…」

 自宅で家族会議を開いた。橋本夫婦には3人の子どもがいる。長男と長女、それに次女。しかし3人とも余裕がある生活ではない。そのうえ長女や次女には、まだ大学や高校に通学している育ち盛りの子どもたちがいた。

 しんみりとした家族会議が3時間に及んでも、結論が出ない。最後になって、間もなく50歳となるトラック運転手の長男が話をまとめた。

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