費用約1万円 予防でインフル治療薬投与はどこまで有効か

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「薬剤耐性や中枢神経への懸念があり、積極的に勧める医療機関は少ないようです。ただ、どうしてもインフルエンザによる被害を抑えたいなどの要望があれば、原則は対象者に限りますが、予防投与のリスクをよく説明して処方を検討します」

 問題はその効果だ。薬の添付文書によると、タミフルは健康成人に42日間毎日75ミリグラムカプセルを飲んでもらう国内試験を実施。タミフル群は155人中2人、偽薬群は153人中13人がインフルエンザを発症した。リレンザは18歳以上が対象。28日間投与後にインフルエンザ様症状および感染が確認された人はリレンザ群が160人中3人、偽薬群は156人中6人。20ミリグラムのイナビルを2日間吸引後に10日間のインフルエンザ発症を調べた国内治験では、イナビル群が487人中19人、偽薬群は478人中81人だった。

「海外でも同様な結果が複数得られています。ただし、予防投与は感染を防ぐわけでも、ウイルスを直接殺すわけでもありません。感染した場合、ウイルスの増殖を抑えてくれるだけ。効果が望めるのは薬を飲んでいる10日間(イナビルは2日使用で10日間)ほどです。薬を使うタイミングは感染している患者さんに接触して36時間以内。48時間を過ぎると効果は薄まるといわれています」

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