役に立つオモシロ医学論文

「メタボ健診」の効果はどれくらい? 実はまだデータ不足

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 解析の結果、3年後にウエスト周囲やBMIが5%以上減少していた人、メタボリックシンドロームに該当しなくなった人の割合は、指導を受けた人で統計学的にも有意に多いことが示されました。また、血圧やコレステロール値、中性脂肪値の改善効果も認めたと報告されています。

 この結果だけを見ると、メタボ健診の効果がそれなりに示されているような気もします。しかし、もともと健康に関心が高い人たちだけが積極的に指導を受けていた可能性もあります。また、示されたのはあくまでもBMIやウエスト周囲、血圧やコレステロール値などの改善であって、心臓病の発症リスクや延命効果ではありません。

「BMIが基準よりやや高めでも死亡リスクは増加しない」という研究も報告されており、メタボ健診の長期的な効果を論じるにはまだまだ根拠となるデータが不足している印象です。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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