年をとったら「太る」を目指す

認知症で低栄養に 患者が食べられない理由はさまざまある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ある方は、白い食器に白い食べ物がのっていることで、食べ物を認識できないことが理由でした。またある方は、認知症の症状で「食べ方」を忘れてしまい、食べられずにいました。集中力低下のために、食べ続けられない方もいます。病院で出している食事が口に合わない、あるいは嫌いな食材が多いために、食が進まない方もいます。

 高齢になると便秘になりやすくなりますが、この便秘が原因で食べない方も珍しくありません。口腔内の環境がよくないために食欲不振に陥っているケースも、高齢者ではよく見られます。

 食事場面を注意深く観察し、いろいろ試していく中で、「これだ」というものを探していくしかありません。食器を変える、手づかみで食べられる食事メニューにする、便秘や口腔内環境の不具合を改善するなどです。

 ご家族からの情報も貴重です。食の好みや普段の食事時間などです。自宅で使っていた食器・食具に変えることで食事量が増えた、という認知症の方もいます。

2 / 2 ページ

若林秀隆

若林秀隆

リハ栄養、サルコペニア、摂食嚥下障害を特に専門とする。日本リハビリテーション医学会指導医・専門医。

関連記事