がんと向き合い生きていく

3度目のがんが見つかった患者さんから届いた「3つのやりたいこと」

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 2度目の乳がんが見つかった主婦のFさん(56歳)から、こんなメールが届きました。

「手術無事に終わりました。ご心配いただき本当にありがとうございました。私ばかりなぜ?とつい考えてしまいますが、こうして連絡をいただき本当にうれしいです。(中略)私の中でやりたいことは後3つ。さんざん心配かけた両親をきちんと看取ること。孫の顔をみること。ボランティアをすることです。こんな体では無理でしょうか」

 私が最初にFさんにお会いしたのは、確か彼女が17歳、白血病で入院された時でした。当時は本人に病名を伝えることはなかった上、抗がん剤の種類も少なく、吐き気や嘔吐などの副作用を軽減する薬剤もありませんでした。Fさんは、病名も分からないまま、つらい副作用に耐えなければなりませんでした。両親をはじめ、医師や看護師が我慢するように説得し、いわば無理やりに治療しました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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