がんと向き合い生きていく

3度目のがんが見つかった患者さんから届いた「3つのやりたいこと」

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Fさんは懸命に耐えに耐え、当時としては運良く完全寛解となりました。5年以上たっても再発なく完治され、通院も必要なくなりました。Fさんが自分が白血病だったことを知ったのは、それから10年たって結婚する直前だったそうです。

 まさか、その20年後に今度は乳がんになるとは誰も考えていませんでした。当時、私が使っていたパソコンは故障してしまったため、その時にFさんから頂いたメールは探せないのですが、乳がんと告知されてから、温存手術、化学療法、放射線治療、ホルモン療法を行い、大変な思いをされました。それでも、治療を頑張って乳がんも克服されたのです。

 その頃、Fさんから、「息子がサッカーで全国大会を目指してがんばっている」という元気なメールを頂き、私もうれしくなったことを覚えています。

■私ばかりなぜ? という思いを抱えながら…

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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