皮膚を科学する

揚げ物の食べ過ぎで肌は老化 最大の原因はブドウ糖にあり

AGEの多い食べ物を避けること
AGEの多い食べ物を避けること(C)日刊ゲンダイ

 テレビの健康番組で、俳優のいしだ壱成(43歳)が19歳の新恋人と同棲を始め、その食生活が「朝から宅配ピザ、揚げ物、炭水化物まみれの1日5食」と紹介され、医師から健康リスクに加え「肌荒れ」を指摘されていた。食生活が肌の健康に、どのように関係するのか。糖尿病専門医である「エージーイー牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長が言う。

「肌の“吹き出物”の原因は皮脂と細菌ですが、皮脂の主成分は中性脂肪ですので『油物がよくない』と思っている人が多い。しかし、油物よりも炭水化物(糖質)の取り過ぎがよくないのです。余った糖質はインスリンによって中性脂肪に変換されて体内に蓄積されるからです」

 もうひとつ、肌荒れ、シワ、シミ、たるみ、くすみなど皮膚の老化の最大原因は、ブドウ糖による「糖化」だという。体が酸化することを「体がサビる」と称されるが、体の糖化は「体がコゲる」状態。ホットケーキを焼くとコゲ色がつくが、同じような現象が体内で起きているのだ。

「糖化は、タンパク質や脂質がブドウ糖と結合することで劣化する反応のことです。その反応によって作られるのが『AGE(最終糖化産物)』という悪い物質です。AGEは皮膚だけでなく、ありとあらゆる病気や老化現象の犯人なのです」

 皮膚の主成分のコラーゲンは、3本の線維が絡み合う構造をしている。コラーゲン線維の間にAGEがたまると、弾力性が失われ、硬くなり、切れやすくなる。それが皮膚の老化の正体だ。血管にAGEがたまれば動脈硬化が進む。さらに、AGEは慢性炎症を引き起こすので、がん、糖尿病合併症、アルツハイマー病など、さまざまな病気に関係しているのだ。

 体内にAGEを増やさないためには、ブドウ糖を余らせてしまう糖質の過剰摂取を避けること。それと、AGEの多い食べ物を避けることだ。

「食品に含まれるAGEは、10%程度が体内に取り込まれ、6~7%が長期にわたってとどまるといわれます。しかし、食材をいちいち気にするのは大変なので、調理法を変えるといい。AGEは高温で調理するほど大きく増えます」

 AGEが少ない調理法の順は、「生食」→「蒸す・煮る」→「焼く」→「揚げる」。生食と揚げ物では、AGEの含有量が約10倍違ってくるという。

 成人の皮膚は1畳分の面積があり、重さ約3キロある最大の臓器。皮膚の糖化は体内の糖化のシグナルなのだ。

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