Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

社員のがん先進治療に500万円 新浪流経営者が患者を救う

サントリーHDの新浪社長(右)と筆者(提供写真)

 年間約100万人が新たにがんになりますが、そのうち3分の1が働く世代。65歳までに男女とも15%の確率でがんを発症し、会社員の死亡原因は、およそ半数ががんです。高齢化や定年延長などが相まって、働く世代でがんになるケースが増えているのです。

 20~64歳でがんにかかった人は2000年に約19万1000人でしたが、10年には28万2000人と急増しています。そんな時代ですから、今後10年間でがんと診断される社員数は、従業員50人規模で2.2人、1000人規模だと44人に上ります。

 これだけ社員の労働力がダウンすると、人手不足の今、かなり痛手でしょう。新浪さんのような経営者が求められるのは、時代の必然です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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