気鋭の医師 注目の医療

食道がんのロボット手術 出血と合併症が3分の1に

立花慎吾講師(C)日刊ゲンダイ

 食道がんのダビンチ手術は、患者は手術台にうつぶせに寝て、バンザイした姿勢で行う(施設によって異なる)。

 右側の脇下に5~12ミリの孔を5つ開け、そこから鉗子や内視鏡の付いたロボットアームを挿入し、術者がモニターを見ながら遠隔操作して手術をする。

■ダビンチ手術は最も患者に優しい術式

 最大の特徴は、鉗子が7つの関節可動域を持っており、内視鏡の手術視野も3D画像で拡大もできること。食道周囲に豊富にあるリンパ節の郭清も狭い空間であってもキッチリできる。

「ダビンチ手術の手術時間は8~9時間で、入院期間は2~3週間と、従来の鏡視下手術と大きな差はありません。しかし、手術中の出血量や術後合併症の発生確率でいえばダビンチ手術の方が勝っています」

 同院の平均データで比較すると、鏡視下手術では出血量が85.6㏄、反回神経マヒ(一時的に声がかれる)が12%、縫合不全が18%。一方、ダビンチ手術では出血量が27.5㏄、反回神経マヒが8.4%、縫合不全が5.5%。もちろん手術関連死などの重大事象は、どちらもゼロだ。

2 / 4 ページ

関連記事