気鋭の医師 注目の医療

食道がんのロボット手術 出血と合併症が3分の1に

立花慎吾講師(C)日刊ゲンダイ

 むろん、病院内の倫理委員会の承認を得て、条件に適合した患者を対象としたダビンチ手術と、一般の患者を対象とした鏡視下手術の成績を単純に比べることはできない。しかし、その正確性にはメリットがありそうだ。

 食道がんではダビンチ手術が最も患者に優しい術式といえるが、すべての患者に適応になるわけではない。同院の昨年の食道がん手術の内訳は、開胸手術が26例、鏡視下手術が8例、ダビンチ手術が8例(実施数に制限あり)だ。

「食道は大ざっぱに言うと内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜に分かれていて、がんの広がりが大きい場合は、鏡視下手術やダビンチ手術は向いていません。基本的にダビンチ手術の対象となるのは、がんの広がりが固有筋層までの『T2』。ただし、食道外膜に広がる『T3』でも化学療法でがんが縮小できれば適応になる場合もあります」

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