糖尿病はそれほど増えていないというのが、国民栄養調査から導かれる大ざっぱな結果です。しかし、70歳以上の高齢者に限ると平成9年から28年にかけて、「糖尿病が強く疑われる者」は、男性では11.3%から23.2%、女性で15.5%から16.8%と、男性で顕著に増加しています。「糖尿病の可能性を否定できない者」が同様に男性では11.5%から18.8%、女性では12.4%から20.2%と、こちらは女性で増加が認められます。
2つを合わせれば、男性で22.8%から42.0%へ、女性では27.9%から37.0%へ増加しているということになり、70歳以上の4割近くが糖尿病か糖尿病を疑われる状態ということになります。20年前には2~3割だった糖尿病が4割まで増えている、大変だ、そう思われた読者も多いかもしれません。
しかし、若い世代の糖尿病の増加ははっきりしませんから、この増加は70歳過ぎて初めて糖尿病といわれる人たちが多いことを示しています。70歳を過ぎて初めて糖尿病といわれた正常な人に近い糖尿病が増加しているというのがこの結果の示すところです。
糖尿病は目や腎臓に合併症を起こすことや、心筋梗塞や脳卒中のような疾患のリスクを増すことが問題で、正常に近い軽症の初期の糖尿病の人が合併症を起こすには10年、20年という長期間を要します。
70歳の平均余命は、男性で15年、女性で20年ですから、糖尿病の合併症が出る前に死んでしまう人も多いわけで、それならそんなに糖尿病を気にして食事を制限するよりは、そんなの気にせず生活するほうがより幸せな人生かもしれません。
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