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症状はある日突然(C)日刊ゲンダイ

 一方、網膜中心静脈閉塞症は、冒頭で挙げた「昨夜までしっかり見えていたのに……」のように、急激に症状が出てくるケースが珍しくない。

「網膜内の静脈の一部が閉塞する網膜静脈分枝閉塞症と違い、網膜中心静脈閉塞症では視神経で閉塞が起こるため、網膜全体に血液や水分が漏れ、全視野にダメージが起こります。圧迫程度によっては、治療を受けても完全失明を免れられないことがあります」

 網膜静脈閉塞症を発症したら、治療は網膜の血流を良くする網膜循環改善薬の投与だ。

 網膜の中央にあり、視力に関連する重要な組織が集まる黄斑の浮腫も起こっていれば、抗VEGF抗体薬の注射も。これは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の働きで新生血管ができ、重度の視力障害が引き起こされるリスクを回避するためだ。

「しかし重要なのは、網膜静脈閉塞症が起こってからの治療ではなく、起こる前の予防的治療。動脈硬化につながる生活習慣病を持っている人は、原因となる生活習慣病のコントロールに努めるとともに、定期的に眼底検査を受け、現在の状態がどうかを確認しておくべきです」

 漫然と生活習慣病の薬をもらっている人、そもそも生活習慣病があるかどうかすら知らない人は、失明の危機がすぐ近くに迫っているかもしれない。

「脳と網膜の血管は似ているため、網膜静脈閉塞症のリスクが高い人は、脳梗塞のリスクも高いことも知っておいてください」

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