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ニューヨーカーも悩む花粉症 ワクチン実験が着々進行中

 つらい花粉症の季節です。ここニューヨークでも、4月から6月にかけてが花粉症のピークとなります。日本に多いスギ花粉ではなく、ニレ、カエデ、クワ、オークといった樹木や、芝生をはじめとした草の花粉もアレルギーの原因になっています。

 その草の花粉アレルギーに効果がある予防接種が間もなく認可される――。そんなニュースが花粉症に苦しむ人々に希望を与えています。

 世界には草の花粉(草本花粉)アレルギーを持つ人が4億人いるといわれています。バミューダ・グラスやケンタッキー・グラスなどの芝はもちろん、ジョンソン・グラス(セイバンモロコシ)やレッドトップ・グラス(コヌカグサ)といった雑草まで、さまざまな花粉が原因になっています。くしゃみ、鼻水、涙などの症状だけでなく、特に草の花粉は粒子が小さいため、肌の引っかき傷から体内に入り、じんましんを引き起こすケースもあるそうです。

 オーストリア・ウィーン医科大学のアレルギー研究グループは、製薬会社「バイオメイ」と協力して草の花粉症の180人を対象に実験を行いました。BM32と呼ばれるワクチンを4回注射、翌年も同様に注射を行ったところ、25%の人の症状が軽減。実験を指揮したニーダーバーガー・レピン教授によれば、「もともとの症状が重い人ほどワクチンの効果が大きかった」といいます。

 現在のところ2年間のデータしかありませんが、研究グループは「注射を継続すればもっと効果が出てくるはず。さらに将来的には予防にも役立てることができるだろう」と推測しています。また、同じワクチンはイエダニや猫アレルギーにも効果があると考えられています。

 ワクチンは3年後の2021年には臨床用に認可される見込みです。近い将来、予防注射で花粉症を防げる時代がやってくるかもしれません。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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