独白 愉快な“病人”たち

42歳で大腸がん手術 金哲彦さんは大量下血にむしろ感謝

手術のときは「腹筋だけは傷つけないように」と医師に伝えた(C)日刊ゲンダイ

 数日後、医師から「大腸がんステージⅢa」だったことを告げられました。つまり、がんのリンパ節への転移も少し始まっていたのです。さらに大腸の外側にがんがはみ出して、一部ほかの臓器に癒着も見られたようです。ただ、遠隔転移はなく、手術によって癒着もキレイに剥がれ、手術は成功とのことでした。

 後から思えば、予兆はいろいろあったのです。毎年の人間ドックでほぼオールAなのに、唯一「便潜血」だけは要再検査になっていたことや、下痢と便秘を繰り返していたこと。大量下血の1年前ぐらいに講演中、ろれつが回らなくなり、倒れて救急車で運ばれたこともありました。たぶん貧血だったのでしょう。でも、そのときは脳の病気は疑っても大腸だとは思いもしませんでした。

 振り返れば、当時NPO法人を立ち上げて、慣れない仕事でストレスがたまっていました。お酒を飲まないと眠れない生活が1~2年続いていたんです。あのタイミングで大量下血があってよかった。もう少し発見が遅かったらと思うとゾッとします。

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