花粉症シーズン本格到来 夜ぐっすりには睡眠対策が肝心

つらい季節がやってきた
つらい季節がやってきた(C)日刊ゲンダイ

 本格的な「花粉症」の季節が到来した。日本気象協会によると、今年は東北から四国地方までの広い範囲で、前シーズンの飛散量を上回る見込みだという。この時期は花粉症の症状でしっかり眠れないという人も増える。花粉症に悩んでいる人には睡眠対策が必要だ。

「花粉症の季節になると、さらに眠れなくなる」

 花粉シーズンに入ると、もともと睡眠に不安を抱えている患者からそんな訴えが増えるという。鼻づまりや鼻水といった花粉アレルギーの症状で睡眠に悩んでいても、いきなり外来を受診する人は多くないだろう。だからこそ、日頃の対策が大切だ。「ベスリクリニック」(東京・千代田区)で睡眠外来を担当する作業療法士の菅原洋平氏は言う。

「花粉症の症状で眠れなくなるのは、鼻づまりや鼻水で、鼻の通りが悪くなって『息苦しいから』ではありません。鼻の奥には血管がたくさん集まっているところがあります。鼻から空気が通ると、その血管が冷えて脳も冷やされることで眠くなります。つまり、鼻の通りが悪いと脳の温度が下がらないから寝つきが悪くなるのです。花粉症の症状でそれができなくなっているのであれば、外部から脳を冷やしてあげればいい」

 周囲に筋肉や脂肪分が少ない脳は外気温の影響を直接受けやすいため、冷たいものをダイレクトに当てれば温度は下がる。あらかじめ冷凍しておいたタオルを、就寝時に枕の上半分にかける。それだけで鼻の通りが悪くても寝つけるようになるという。その際は「耳から下の、首の部分は冷やさない」ように注意する。首には呼吸中枢などの生命維持機能が集まっているので、冷えると脳が覚醒して逆効果になってしまう。

■マスクをつけて寝るのもいい

 就寝時に花粉をなるべく吸い込まないようにするのも重要だ。

「睡眠中は、その場所から移動しません。7~8時間も同じ場所の空気を吸い続けるところは寝床しかないといってもいいでしょう。だからこそ、枕まわりの空気をきれいにすることが大切です。花粉アレルギーの症状で眠れない人は、枕カバー、シーツ、布団カバーを小まめに取り換えて洗濯すると改善します。とりわけ枕は、睡眠中にかいた汗を多く吸収していて雑菌も繁殖しやすいので要注意です。いちいち枕カバーを洗濯するのが難しいという人は、枕の上にタオルをかけて、そのタオルを毎日交換するだけでも効果があります」 

 花粉を吸い込まないためには、マスクを装着して眠るのも効果的だ。

「花粉を物理的にブロックして、就寝中の鼻水、せき、くしゃみといったアレルギー症状を抑えるだけでなく、鼻やのどの湿度を保って鼻の通りの改善やのどの痛みを防ぐことができます。鼻の通りが悪いとどうしても口呼吸になり、歯ぎしり、いびき、睡眠時無呼吸症候群などの要因になります。就寝時のマスク装着はそうした健康被害のリスクを軽減させるのです」

 睡眠用のマスクは、ガーゼやタオル地などの肌触りの良い布製がおすすめ。

 一般的な不織布のマスクでは、息苦しくなって無意識にマスクを外してしまうケースが多い。耳ひもが痛くならないような工夫がしてあるマスクもある。

 花粉症による目のかゆみで眠れないケースもある。かゆみを引き起こす「ヒスタミン」という物質は、脳の覚醒と睡眠が切り替わるタイミング、つまり眠る直前と起きた直後に活性化する。このタイミングで花粉に反応すると症状が悪化してしまう。

「枕まわりを清潔に保つのはもちろん、帰宅したときと目覚めたときは必ずすぐに着替えるようにしましょう。ヒスタミンが活性化するタイミングで、衣服やパジャマに付着している花粉や雑菌を吸い込まないようにするためです。また、夜中や朝方にトイレに起きたときは、モップ付きのスリッパを履いて、ついでに床に落ちている花粉を掃除してしまうのも有効です」

 普段の花粉対策に加えて就寝時にも気を配れば、つらい睡眠不足も乗り切れる。

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