Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

伊藤忠がヒント がん治療と仕事の両立はコーディネーターが重要

異常があればCTなどで精密検査(C)日刊ゲンダイ

 たとえ、がん検診の受診率がよくても、精密検査を受けなければ、早期発見・早期治療のチャンスが失われる恐れがあります。でも、ヤスマのような精密検査への後押しは効果的。ヤスマは、5年以上前からがん検診受診率と精密検査受診率の100%を続けているそうです。

 ヤスマは、東北から季節労働で半年ほど住み込みで働く人が会社を支えるケースが多かったものの、食生活の乱れなどから体調を崩しがちだったといいます。

 その教訓から、会社が社員の健康に配慮する必要性を感じ、今のような仕組み作りにつながったようです。

 データから、がん検診の受診率も、就労支援も大企業に有利な数字が並ぶのは事実ですが、中小企業もトップの意識で変わる可能性は十分あります。会社のサポートが不十分なら、会社に働きかけて、がん企業アクションに参加して情報を入手するのもよいでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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