後悔だらけの花粉症対策

治療は自宅でOK 花粉症の根治薬「シダトレン」の効き目

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今年の冬は全国的に寒く、2月上旬まで強い寒波に見舞われた。おかげで何となく忘れていたが、いくら冬が長くても、シーズンになれば花粉は飛ぶ。それも今季は飛散量が多いという。花粉症対策は早めが肝心で、いまさらやれることは限られるが、症状が出るまで何もやらずに後悔する人も少なくない。涙や鼻水でグシュグシュの今だから、患者が知っておくべきこととは?

 日本気象協会の花粉飛散予測によると、今年は北海道と中国、九州地方をのぞき、前年よりも飛散量が多いとされている。東北は210%、関東甲信は150%、近畿は110%という具合。おかげで「今年はひどいですよね~」という時候のあいさつが、あちこちでマスク越しに交わされているのだ。

 こんな状況は、これからもしばらく続く。

 スギ花粉のピークは、東京で3月上旬から4月上旬、大阪で3月上旬から中旬となっていて、それが終わるとヒノキ花粉の飛散が始まる。そのピークは東京と大阪がともに4月上旬から中旬という。あと1カ月は、鼻水や鼻づまり、目のかゆみで、眠れない夜を過ごすことになりそうだ。

 症状を和らげるためには薬が欠かせないが、医師の処方が必要な医療用医薬品に含まれていた成分が一般用医薬品に転用されるようになったこともあり、最近は病院に行かない人も増えているらしい。そもそも耳鼻科に行ったところで、症状を止める治療を受けられるわけではないし、主たる目的は薬をもらうことだ。それが薬局でも買えるなら、待合室で余計な時間を過ごす必要はない。そんなふうに考えるサラリーマンは多いだろう。

■舌の下に置くだけで

 実は、花粉症には根治を目指した薬もある。3年あまり前に発売された「シダトレン」がそれだ。スギ花粉を原料としたエキスを少しずつ、長期にわたって体に取り込むことで、アレルギー症状が出ないようにする薬である。

「アレルギーの症状は、本来は害がないにもかかわらず、体が害のあるモノだと勘違いして過剰反応することで出ます。そこで、害がないのにアレルギーを引き起こす物質を毎日、少しずつ体に取り込めば、体が慣れてきて過剰反応が出ないようになると期待できます。時間をかけて体質を整えるわけですね」(発売元である鳥居薬品の経営企画室)

 これはアレルゲン免疫療法と呼ばれるもので、従来は注射によって治療薬を投与する皮下免疫療法が主流だった。シダトレンは注射を使わない舌下免疫療法で行う。

 患者の負担はぐっと減るのだ。

 試してみたい人は、まずは同薬を扱っている耳鼻科に行き、アレルギーの確定診断をする。スギ花粉によるものだと分かれば、治療開始だ。といっても、やるのは自宅である。液状の治療薬を舌の下に置き、2分間待ってから飲み込むだけでオーケーだ。

 治療開始後の通院は、最初と2週間後、その先は月に1度で済む。

「まずは2週間かけて少しずつ量を増やし、ピークになってからは毎日同量を取り込むことになります。これを3~5年続ける必要があるので、患者さんによっては毎朝、新聞を読む前に投与するなど、生活習慣に取り入れる工夫もされているようです」(同)

 現在の液状のタイプは冷蔵保存が必要なので持ち運びが難しいが、錠剤のタイプも承認済みで、薬価が決定すれば販売される予定。ただし、スギ花粉が飛んでいる時期は、過剰摂取によって症状が重症化するリスクがあるため、治療を始められるのは最短でも6月ごろになる。そのころまで覚えていて、トライすれば、来年は過ごしやすい春になるかもしれない。

関連記事