後悔だらけの花粉症対策

最近話題の“トマト悪玉説”にも冷静 カゴメに見解を聞いた

トマトはスギ花粉と相性が悪い
トマトはスギ花粉と相性が悪い(C)日刊ゲンダイ

「スギ花粉症はトマトを食べると悪化する」

 昨年あたりからネット上ではこんな情報が乱れ飛んでいる。

 果物などを食べると、唇やのどがイガイガするケースがあるが、これは口腔アレルギー症候群(OAS)と呼ばれるもの。口のイガイガのほか、鼻水や目の充血といった花粉症に似た症状が出る。とくにトマトがやり玉に挙がっており、ネット上では「この季節にトマトは“厳禁”」とまで言われているのだ。

 日本医科大学の大久保公裕教授によると、OASは果物や生野菜に含まれるアレルギーを起こすアレルゲンが、花粉のアレルゲンと構造が似ているため、口腔内で反応が起こること。体が花粉が入ってきたと“誤認”してしまうのだ。厄介なことに、OASを発症した人の中には、まれに急激な血圧低下で意識がなくなるなどのアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるという。

 スギ花粉と相性が悪いのは、「トマト」。食物アレルギー診療ガイドラインによると、花粉症とOASの合併比率は7~17%で、つまり花粉症患者の約10人に1人は合併症で症状が悪化する。

 同様にシラカンバ花粉は「リンゴ、モモ、サクランボ」、イネ科花粉は「トマト、スイカ、メロン、オレンジ」、ヨモギ・ブタクサ花粉は「スイカ、メロン、セロリ」との相性が悪いとされる。花粉症対策にはこの相性が重要なポイントになってくるわけだ。

■シラカンバ花粉は「リンゴ、モモ、サクランボ」が×

 だが、このトマト悪玉説に冷静に対応するのは、トマトジュースで有名な「カゴメ」だ。

「トマトと花粉のアレルゲンが似ているために引き起こされる症状というのは知っていますが、リポートをよく読むと、花粉症患者の一部の方だけの症状のようです。そもそも、通常のトマトジュースは生のトマトとは違って一度熱を加えて殺菌されていますので、アレルギー反応の心配は少ないかと思います。ネットではいろいろ言われていますが、OASにならない人ならば、トマトジュースを飲んでも問題はないと思います」(カゴメ広報担当者)

 むしろ、カゴメは国際医療福祉大学との共同研究で、トマトジュースやトマトに由来するカロテノイド(主にリコペン)を継続的に摂取することにより、「花粉症の症状が改善する」と報告しているほど。具体的には、トマトジュース(190ミリリットル)を毎日1本飲むと、10週後には水っぱな、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙目の6項目のうち、「水っぱな、くしゃみ、鼻のかゆみ」の3項目で有意な改善があったという。

「動物実験の段階ですが、ブロッコリースプラウトから抽出したエキスに花粉症を抑制する効果があることも分かってきています」(前出のカゴメ広報担当者)

 最近は、花粉症に効く食品として「L―92乳酸菌」、柑橘類の「じゃばら」、味噌や納豆などの発酵食品も注目されている。以前はステロイド点眼薬に頼っていた杉本彩は、「青汁」「プラセンタドリンク」のほか、各種サプリを飲んで対策しているという。つらい症状を和らげるため、患者それぞれの努力がある。

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