医者も知らない医学の新常識

抗菌剤で大動脈瘤の危険? 英医学誌に衝撃の研究結果が

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 大動脈瘤というのは体を栄養する太い動脈にできる瘤(こぶ)のようなものです。血管の壁に弱い部分があり、そこが膨れて起こると考えられています。それまで病気がなく元気だったのに、突然亡くなった芸能人の死因が大動脈瘤の破裂であった、というようなニュースは、皆さんも読まれたことがあると思います。

 大動脈瘤はなぜできるのでしょうか? 体質的に血管が弱くて起こることもありますが、一番の原因は高血圧と動脈硬化です。ただ、なぜできたのか分からないような動脈瘤もまた多いのです。今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、感染症の薬である抗菌剤で大動脈瘤が増えるという、ちょっとショッキングな研究結果が報告されました。

 全ての抗菌剤にそうした作用が疑われる、というわけではなく、強力な抗菌剤として知られているニューキノロン系というタイプの薬で、そうした結果が得られたのです。ペニシリンという抗生物質を使った場合と比較して、ニューキノロン系の薬を使うと、その後の大動脈瘤の危険が、60%以上も高くなっていました。その原因は不明ですが、抗菌剤の作用により、血管の壁が弱くなる可能性が指摘されています。血圧が高い人や動脈瘤のある人が感染症にかかった時には、抗菌剤の種類にも気を付ける必要がありそうです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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