天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

大腸がんと心臓疾患は危険因子が共通している

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

■同時手術が行われるケースも

 高コレステロールは子宮体がんや乳がんの危険因子でもあるため、特に中高年は注意が必要です。LDLコレステロールの数値が高い人は、がんや心臓疾患を予防するためにも薬物治療や生活習慣を見直すなどして下げる努力が大切になります。

 実際、大腸がんと心臓疾患を並行して手術するケースは年間1~2例ほどあります。大腸がんは進行がそれほど速くない場合が多く“待てる時間”があるため、ほとんどはまず先に心臓の手術をして、安定した状態になってから大腸がんの手術を行います。

 ただ、出血があって待てる時間がない状態だったり、全身状態が悪くて2度の手術に耐えられそうにないといった場合は、心臓と大腸がんの手術を同時に実施します。とりわけ、大腸がんとの同時手術を行わなければならないのは、大動脈弁狭窄症と不安定狭心症です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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