胃がんは、6割がステージ1で見つかりますが、食道がんは24%。食道がんが進行した状態で発見されやすいことが、うかがえます。そんな手ごわいがんを告知されたのですから、治療に専念する気持ちは、理解できます。患者心理とすれば、当然でしょう。
しかし、仕事をすべてキャンセルして治療するのは、必ずしも賢明な選択とはいえません。がんと診断されて1年以内は自殺リスクが急増。そうでない人に比べて、24倍に上ります。孤立すると冷静な判断ができにくくなりますから、「がんでも仕事を辞めない、辞めさせない」がとても重要です。
厚労省研究班の調査によると、がんになると、サラリーマンの30%が依願退職。辞めた人のうち5人に2人は、治療が始まる前に辞表を出しているのです。告知のショックから「がんでは、仕事ができない」とあきらめてしまうのでしょう。あきらめが、自殺につながると考えられます。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁