FMTは昔からあった治療法だが、注目を集めるキッカケになったのは13年に米国の医学雑誌に報告されたオランダの研究結果だ。クロストリジウム・ディフィシル感染性腸炎に対して9割以上の治療効果があったと報告された。ならば潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患にも効果があるのではないか、と臨床試験開始の追い風になったという。
■潰瘍性大腸炎の約7割に症状改善が
人の腸管には約1000種、数にして100兆個以上の腸内細菌が生息し、腸内細菌叢を構成している。潰瘍性大腸炎などの腸疾患は、その腸内細菌のバランスが乱れていることが分かっている。そこに生きた腸内細菌の塊である便を直接移植することで、腸内細菌のバランスの乱れを抑制する可能性がある。
同院ではFMTの前に抗菌薬療法(AFM療法)を行う併用療法を「A―FMT」と名付けた。
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