がんや心臓病より怖い

孤独<4>「社会脳」の発達障害で「孤独脳」が完成する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 マウスを使った別の研究では、群の中の地位が高いマウスほど、孤独の影響を受けやすいことが示唆されています。人間社会に例えると、いままで会社の部長だった人が、定年退職で孤独に陥った途端、一気に老け込んでしまうといったケースでしょう。「自分は周囲から頼られている」「自分がいないと会社が回らない」と普段から思い込んでいる人は、要注意です。

 大脳皮質の神経密度や働きは、FMRI(機能的磁気共鳴画像法)と呼ばれる最新の医療機器で計測することができます。近い将来、病院や脳ドックで、脳の社会性を検査してくれるようになるかもしれません。もしそうなれば、孤独を未然に予防したり、社会脳の違いに即した“孤独治療”が講じられたりするようになり、救われる人が大勢出てくるに違いありません。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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