クスリと正しく付き合う

風邪薬を飲み過ぎると肝臓が障害される危険がある

初期症状はほとんどない(C)日刊ゲンダイ

 前回、紹介した中毒性表皮壊死症(TEN)などのような激しい副作用は、かなりまれなケースです。今回は身近な薬でも起こる可能性がある、怖い副作用についてお話しします。

「薬剤性肝障害」は、薬を使用したことが原因で肝臓が障害される病気です。薬の直接作用によって起こる中毒性肝障害と、使用した側の薬に対する過敏反応によって起こるアレルギー性肝障害があります。

 臨床ではアレルギー反応によるケースがほとんどで、抗生物質、解熱鎮痛薬、麻酔薬、抗不整脈薬など、さまざまな薬で起こります。そのため、予見することが難しいといえます。

 一方の薬剤中毒性肝障害は、ある薬を一定量以上飲むと、誰にでも起こる可能性のある副作用です。こちらは、ある程度予測することが可能で、血液検査などで肝臓の機能が弱っていることが分かっている人は、薬剤中毒性肝障害の原因となる薬の使用は、できるだけ避けるべきです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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