酒を多量に飲む人は認知症になるリスクが高い――。こんな調査結果が報告され波紋を呼んでいます。
発表したのは医療専門誌「ランセット・パブリック・ヘルス」で、2008年から13年までの5年間にフランスの病院を退院した100万人の認知症患者のデータベースを分析しました。その結果、認知症の男性の16.5%、女性の4%がアルコールの使用障害(依存症)と診断されており、この数字は認知症でない人の2倍に当たります。
アルコール使用障害との関連は、特に65歳以下で発症する早発型認知症に顕著で、こうした患者の約半数がアルコール使用障害を持っていたとのことです。研究に携わった「トランジショナル・ヘルス・エコノミクス・ネットワーク」のマイケル・シュワルジンガー医師は、「ここまでアルコールとの強い関連があるにもかかわらず、まったく注意が払われてこなかったことの方が驚き」とコメントしています。
では、もしアルコールの多量摂取により認知症リスクが高まるとしたら、その理由はどんなものなのでしょうか?
まず、アルコールの一種であるエタノールとその副産物は脳に有毒作用をもたらし、長期的にダメージを与えます。次に、アルコール多量摂取により起こった肝臓の障害で血中のアンモニアが増加し、脳の機能を損ねる肝性脳症になる可能性もあります。そして、過度の飲酒をする人は喫煙の習慣があったり、うつ病であることも多く、いずれも認知症のリスクになるのです。
さらに、認知症の発症年齢に見られる男女差にも注目。女性より男性の方が若くして認知症を発症することも分かっており、これもお酒を飲み過ぎがちな男性の不健康なライフスタイルが原因になっているのではないかと指摘されています。
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