スキンシップには心を癒やす効果があるとされる。では、実際に体のどこの部分を触ると“気持ち良さ”を感じやすいのか。桜美林大学リベラルアーツ学群の山口創教授(人間科学)が言う。
「人にとって心への影響が大きい皮膚の部位は『顔』と『腕』です。顔であれば頬から顎にかけて上から下へ、腕であれば前腕から手の甲にかけてさするのがいい。人間の場合、その部分は『C触覚線維』という感情と深い関わりのある受容器の密度が高いからです」
ただし、気持ち良く感じるさすり方には条件がある。C触覚線維は1秒に5センチ前後の速さで触れたとき最も興奮し、気持ち良さを感じる。それ以上でもそれ以下の速度で触れても興奮しないので、気持ち良さは低下してしまうのだ。「1秒に5センチ前後の速さ」というと機械的に聞こえるが、人は相手を気持ち良くさせたいとき、無意識にこの速さでなでていることが多いという。
皮膚を科学する