「しゃっくり百万べん」という絵本をご存じの方もいるかと思います。「しゃっくりを百万遍すると死ぬよ」ということで物語が展開します。本当にしゃっくりを百万遍すると死んでしまうのでしょうか? 医療者としては気になるところですが、その前に、どうにかして止めようとするでしょう。
例えば、漢方の「芍薬甘草湯」や、「コントミン」(クロルプロマジン)という薬を用いたりすることもあれば、咽頭マッサージをする場合もあります。「柿蔕」という生薬が効くともいわれますが、実際に使っているのを見たことがないので、なんともいえません。
しゃっくりが、薬の副作用として起こるケースがあります。しゃっくりは「吃逆」と呼ばれます。全身麻酔薬などの副作用として起こることが知られていますし、身近な薬では抗生剤やステロイド内服薬で表れるケースもあります。
また、しゃっくりを誘発する代表的な薬として抗がん剤の「シスプラチン」が挙げられます。シスプラチンは白金製剤に分類される薬で、婦人科がんや肺がん、肉腫など幅広くさまざまながんに用いられます。さすがにがんの場合は治療が優先されますので、しゃっくりの副作用が出るから抗がん剤治療をやめるということはありません。ただ、しゃっくりが長引けば、患者さんは息苦しくもなりますし、治療や病気に加えて、さらにつらさが増してしまいます。
しゃっくりは自然にも起こるので、放っておけば治ると思っている人も多いでしょう。確かにそれは事実です。しかし、薬によって誘発される「難治性吃逆」という長引くしゃっくりがあることを知っておくことは大切です。
しゃっくりが長引いてつらい時はガマンせず、速やかに医師や薬剤師に相談してください。
しゃっくりが百万遍出たら死ぬかは分かりませんが、つらさが長引くのはよくありません。先に紹介したような治療法があるということを知っておくのは大切です。
クスリと正しく付き合う