前立腺がん早期治療 トモセラピーのメリットとデメリット

唐澤部長とトモセラピー(C)日刊ゲンダイ

「1日の排尿回数が平均10~十数回に増えます。治療を終えれば、徐々に元通りになっていきます」

 もうひとつデメリットとして挙げるなら、「手術であれば、再発時に放射線治療という選択肢がある。放射線治療の場合、再発時に手術は困難。一般的にホルモン療法を行うことになる」という点。これに関し、唐澤部長は「再発させないようにトモセラピーを行う、と述べるしかない。実際、再発例は現段階でほとんどありません」。

 トモセラピーはCT画像撮影によって前立腺と、近くの直腸、膀胱の位置を確認しながら、前立腺がんにだけ大量に放射線を当てられる。これまでの放射線治療になかった「360度らせん状照射」が可能で、線量の集中性が際立っている。

「前立腺は排尿、排便、おなら、わずかな体位の変化などで位置がズレます。ミリ単位のズレでも治療成績は落ち、周囲の重要臓器へダメージを与える。トモセラピーは一体化されたCTで位置を調整しながら照射できるため、より高い精度が保証され、それによって良好な治療成績、安全性を保てるのです」

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