大手製薬会社がシフト 「抗がん剤」開発に大型投資の未来

がん治療薬「オプジーボ」(C)共同通信社

「従前の5薬は悪性黒色腫、一部肺がん、腎臓がんの3種類のがんへの適用ですが、4月から適用が拡大されてくる。また、現在10種類の免疫チェックポイント阻害薬が開発中で、今年度中には発売が予定されています」

 国内大手製薬会社は、がん治療薬の開発で海外メーカーに比べて後れを取ってきた。

 しかし、ここにきて大手各メーカーは、がん治療薬を重点に開発資金をシフトしてきた。

 第一三共は中山譲治会長兼CEOが「あらゆる資源をがんに傾斜配分する」と明言。20年までに総額9000億円の研究開発費をがん治療薬の開発に投入することを発表した。

 武田薬品工業は現在、4兆円規模でアイルランドの大手製薬会社シャイアーの買収を検討中だ。武田はすでに昨年2月、がん治療薬に強い米国の製薬会社アリアド・ファーマシューティカルズを約6200億円で買収。さらに昨年末には東京本社ビルの建物と土地を約495億円で高島屋に売却したほか、品川区の賃貸用オフィスビルを約320億円で売却している。いずれもがん治療薬開発の遅れを取り戻すためのシフトだ。

「これまで治せないといわれたがんも、遺伝子を見つけることで治る。免疫治療薬の開発で5年後にはがん患者は死ななくなる。その一歩手前まで来ているといえます」(前出の吉川氏)

2 / 2 ページ

関連記事