無菌のガラス部屋で生活13年…スペイン人女性の“究極の目標”

無菌状態のガラスの部屋の中で暮らすムニョスさん(本人のフェイスブックから)

 フアナさんが最初にMCSの反応を示したのは29年前。夫が庭に植えたジャガイモに触れると、急に唇や目の周りがはれ始め、ついには体中が「モンスターのようになった」という。

 その時は、医師からステロイドを処方されて退院したが、その後、何らかの化学物質に触れるたびに、吐き気、慢性疲労、皮膚のかゆみ、呼吸困難などのアレルギー反応に苦しむようになった。

 フアナさんは「今にして思えば、あのジャガイモには、数年後に禁止された農薬が使われていました。あの殺虫剤が引き金になって、化学物質過敏症になったと確信しています」。しかしフアナさんは農薬メーカーから訴訟を起こされたくないとして、殺虫剤の名前を明らかにしなかったという。

 病苦にさいなまれるフアナさんの生きる目標は、世間のMCSに対する認知度を高め、自分と同じような人びとの状況を少しでも改善することだ。また、フアナさんは最近になって、MCSの発作を抑える特殊なフィルターを持つマスクの開発を援助するキャンペーンを始めた。名称は「エル・アブラソ(抱擁)」。フアナさんの究極の目標だ。

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