天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

なんらかのアレルギーを持っている人は思わぬものに反応するケースがある

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 さらに、アレルギー反応を起こしにくくするステロイドを前もって点滴して、それから改めて検査を受けてもらうケースもあります。画像診断を分かりやすくするために使う造影剤に対するアレルギーがある患者さんは少なくないので、たとえば心臓カテーテル治療を受ける場合などはそうしています。

■麻酔薬や滅菌ガスでも発作が起こる

 また、手術の前に「プラズマフェレーシス」という血液を洗浄する治療を行うケースもあります。血液を遠心分離装置にかけるなどして血球成分と血漿成分に分離し、アレルギーを引き起こす物質を含む血漿を除去する治療法です。膠原病の治療でも行われていて、アレルギーを起こしにくくなります。

 近年、なんらかのアレルギー性疾患を抱えている患者さんが増えていて、そういう患者さんは他のアレルギーも引き起こしやすい体質だといえます。花粉アレルギーは「IgE」という免疫グロブリンが多くなることで即時型アレルギー反応を引き起こします。このIgEは花粉症だけでなく、アトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギーなどにも関わっているので、どれかひとつでもアレルギーがある患者さんは他のアレルギーにも注意しなければなりません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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