たとえば、乳製品アレルギーがある人は、「プロポフォール」という麻酔薬でアレルギー反応を起こす場合があります。プロポフォールは水に溶けにくく、脂肪乳化剤を溶媒として製剤しているため、乳製品アレルギーの人に使用するとアレルギー反応が起こるのです。数年前には、大学病院でプロポフォール使用による小児の死亡事故が起こっています。臨床の現場でも、全身麻酔をかけた途端に急に血圧が下がってしまって大慌てすることもあります。乳製品アレルギーと麻酔薬のように、一見、関係なさそうに思える組み合わせが実は大きく関係しているケースは珍しくないのです。
また、「エチレンオキサイド」という医療器具の滅菌に使用されるガスに対して患者さんがアレルギー反応を起こすこともあります。器具に残留しているガスがアレルギーがある患者さんに“悪さ”をするのです。医療器具はほとんどが滅菌されているため、喘息のある患者さんが術中にそれらに接触しただけで発作を起こし、麻酔の維持に苦労するケースもありました。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」