「適度な運動には健康効果がありますが、過剰な運動は自律神経に負担をかけます。自律神経は、脈拍、呼吸、血圧、体温、睡眠などわれわれのあらゆる身体活動をコントロールしています。激しい運動をすると、心拍数、呼吸、体温が上昇しますが、そうなるとそれらをコントロールするために自律神経が活発に働きます。そんな自律神経に負担がかかる状態が長く続くと、脳の細胞で活性酸素が発生し、酸化ストレスの影響で自律神経がさびついてしまう。自律神経が本来の機能を果たせなくなってしまうのです」
■息切れするような強い運動はNG
さらに、過剰な運動で自律神経のフル回転状態が続くと自律神経失調症の状態になる。自律神経だけでは身体活動を維持するための処理ができなくなるので、それを補うために内分泌免疫系を稼働させる。そうなると、ステロイドホルモンの分泌が促進され、インスリン抵抗性が表れてインスリンの作用が発揮できない状態になったり、血圧が高くなる。その結果、糖尿病、がん、心血管疾患といった命に関わる疾患の発症リスクがアップしてしまう。