末期がんからの生還者たち

大腸がん<2>「親に心配かけないよう説明の言葉を何度も」

岩井ますみさん(提供写真)

 岩井ますみさん(54歳=千葉県市川市在住)は、2008年11月、地元の「大野中央病院」で大腸内視鏡検査を受診した。担当医師から「生検で採取した組織を調べたら『進行性の大腸がん(下行結腸がん)』です。まだ若く体力もあるので、傷痕が少なくて済む腹腔鏡が出来る病院が良いと思います」と言われ、ネット情報などを参考にして「順天堂大学医学部付属浦安病院」に決めた。

 大腸がんの告知を聞いて、岩井さんの頭をよぎったのは、同居している両親の顔。どのように説明するか。できるだけ心配をかけないように、あらかじめ説明の仕方を何度も練習した。

「お願いだから冷静に聞いてね。私は何ともないからね。どうもがんらしく入院と手術が必要なの……」

 極力落ち着いて説明した後、じっと耐えていた涙があふれた。この時期、カラーコーディネーターとしてカルチャーセンターの講師を務めていた最中で、その仕事も中断してしまうことに心が痛む。

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