独白 愉快な“病人”たち

生き方が楽に 森下千里さんがリンパ節炎を患い考えたこと

「病院は得意じゃなかった」と話す森下千里さん(C)日刊ゲンダイ

 病気になって学んだのは「弱音を吐ける自分も大切」ということ。それまで、ずっと「弱さを見せちゃダメ」という考え方で生きてきました。他人に世話をされるのが嫌というか、申し訳ないと思ってしまうから、人の優しさを素直に受け入れられなかったんです。弱音を吐いたら失礼かなと思って、手を差し伸べられても「とりあえずノー」。それが、最近は「とりあえずイエス」になりました(笑い)。

 その思いはポリープの手術をした時の方が顕著でしたね。当時は病気や入院を家族にも伝えず、唯一話した友人の好意にも甘えず、独りぼっちで入院したんです。「1泊だけだから」と、ちょっと手術を甘くみていたんですよね。でも、術前に同意書に自らサインする時は「万が一、があるんだな」とちょっと不安になりました。

 もっと不安だったのは退院の時。手術は全身麻酔だったので想像以上に体へのダメージがあって、「こんなんでひとりで帰れるかな? 声も出せないし……」と心細かったんです。でも、その日偶然に何も知らない友人がメールをくれて「今何してる? ご飯でも食べない?」と誘ってくれたんです。思わず「ポリープ切ってしゃべれないけど」と返して、その日は車で迎えに来てくれた友人とイタリアンを食べて帰りました。全部筆談でしたけど(笑い)。

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