治療から晴れて解放された2カ月後の7月、体調はまだ十分に回復していなかったが、気分転換とばかりに姉と一緒にフランス旅行に出かけた。
帰国してすぐ、年老いた両親のために自宅をバリアフリーに改築する。
ところが、「できることなら娘のがん治療を代わってあげたい」と、声を何度もつまらせていた心優しい父親は翌年1月に倒れてしまう。介護に心血を注いだが、12月に他界した。
父親のこうした介護経験が、岩井さんを本格的な介護の勉強に導き、昨年「認知症予防専門士」の資格を取得した。
眠れぬほどの激痛に襲われた長い闘病生活で、心が折れたこともあった。でも立ち上がり、岩井さんは今、「いつまでも輝いている女性でありたい」と笑顔を見せる。
末期がんからの生還者たち