Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

内田春菊さんの告白が話題 直腸がんでも人工肛門を免れる

内田春菊さん(C)日刊ゲンダイ

“痔主”でも便潜血反応を無視せず、40歳以上なら大腸内視鏡検査を受けること。痔の専門医は、大腸内視鏡検査も行いますから、相談するといいでしょう。

「左右のお尻を強引につなぎ合わせたので、お尻の割れ目がなくなっちゃったんですよ」

 漫画家ならではの表現で、直腸がん切除による“悲劇”を伝えていますが、そんな“悲劇”を免れるための治療選択が2つ目です。

 まず自動吻合器の登場で、肛門の近くで腸と腸をつなぎ合わせる操作が安全に行えるようになったため、肛門を温存する技術が発達。さらに肛門近くのがんでも、肛門を締める肛門括約筋を残して腸と肛門を縫合することで、肛門温存が可能になっています。

 内田さんは、抗がん剤治療でがんを小さくしてから手術を受け、人工肛門にならずに済む可能性を探ったそうですが、残念な結果でした。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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