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【双子研究】一卵性双生児でも環境で20%の個人差が出る

ザ・たっちを分析したらどうなるか…(左は安藤寿康教授)/(提供写真)

 ひと言で「環境」といっても、それが家庭の中にあるのか、家庭の外にあるのか、あるいは家庭の中にあったとしても全員が同じようにさらされているのではなく、一人一人が違うのかという点で区別する必要がある。

 行動遺伝学では、家族のメンバーを類似させるような環境を「共有環境」、家族一人一人を異ならせる環境を「非共有環境」と呼んでいる。そして、病気の発症を含め、人は共有環境の影響はほとんどなく、個人差の多くは非共有環境から成り立っているという。

「例外的に共有環境の影響があるのは『知能』や『学力』。病気であれば原因となる物質が家庭に置いてあるアルコールやニコチンなどの『依存症』です。インフルエンザや水虫などの感染症も家族からうつることもありますが、しかし、そのようなことは行動遺伝学全体からみたら例外なのです」

 他人と環境条件が同じでも、ウイルスに感染しにくいかどうかにも遺伝の影響がある。糖尿病になりやすい食事内容を好むのも、環境ではなく遺伝の影響という。

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