末期がんからの生還者たち

急性骨髄性白血病<1>夜になると決まって微熱が出るように

高松珠代さん(提供写真)
高松珠代さん(提供写真)

 神奈川県逗子市に住む高松珠代さん(55歳)は、教員免許を取得し、大学卒後は、音楽の教師として教員キャリアをスタートさせた。

 4、5年ごとに県内の学校を異動しながら、充実した教員生活を送ってきた。家庭では薬剤師の主人との間に3人の子どもがいる5人家族である。

 長女が社会人になり、長男は大学4年生、次男が大学に入学した2013年の夏、高松さんは体に異変を感じる。

 風邪をひいたわけでもない。それなのに時々、微熱が出る。11月に入ると症状が顕著になり、日中は36度の平温なのに、夜になると決まって37度前後の熱が出た。

 ご主人から「少し働き過ぎじゃないの。仕事をセーブしてはどうか」とのアドバイスを受けた。

 高松さんはこの時期、自宅から近い葉山町の保育園(週に3日勤務)と、横浜市立大学付属病院内にある保育園(週に2日勤務)とかけ持ちで勤務していた。当時、51歳の高松さんは、「疲れじゃなくて、もしかしたら更年期障害ではないかしら」と、市販の解熱剤を服用していた。

■「白血球が少なすぎます」

 こうした微熱が続いている中で、新たな異変を感じた。腕、手首、右脚のふくらはぎに、ポツポツとした白い吹き出物が出たのである。

 近所の婦人科クリニックで受診すると、若い医師は漢方薬を処方してくれた。

 服用後、ほどなく微熱は平熱に戻ったが、日を置いて再び微熱が続く。ほかに全身のだるさや筋肉の痛みが表れ、体の節々にある関節もズキズキと痛みだした。

 同年暮れ、やはり自宅から近い一般内科「白土クリニック」を訪ね、「血液検査」をした。翌日早朝、検査結果を知らせる急ぎの電話がかかってきた。

「白血球が少なすぎます。大きな病院で精密検査を受けてください」――。

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