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西村知美さんも悩む「いびき」をかかない方法と放置リスク

「睡眠時無呼吸症候群」と診断された西村知美さん
「睡眠時無呼吸症候群」と診断された西村知美さん(C)日刊ゲンダイ

【Q】家族から「いびきがひどい」と言われます。以前、テレビでタレントの西村知美さんが「睡眠時無呼吸症候群」と診断されていたことを思い出し、もしかしてそれかな、と。女性で痩せ形でもなるのでしょうか?  (30代女性)

【A】睡眠時無呼吸症候群(SAS)は「太った男の人がなる病気」と思われがちですが、臨床的にはそうではありません。 欧米人と比べて、顎が小さく気道が狭いのが日本人。顎が小さいと気道が塞がりやすく、SASになる人が多いといわれています。テレビで見る限り、西村知美さんも顎が非常に小さいように見受けられます。

 睡眠時にいびきをかくと、舌が下がり、気道が閉塞され、呼吸が止まります。すると血液中の酸素濃度が下がるため、脳が「酸素を送れ」と指示を出す。その都度、脳は覚醒します。

 これを一晩に何度も繰り返すと、脳には大きな負担となり休まらない。昼間の眠気、血液中の酸素不足による高血圧や高血糖、さらには動脈硬化が原因の認知症のリスクを高めます。

 SASの検査は2つ。ひとつは、携帯用の簡易型検査装置で睡眠の質や睡眠中の呼吸状態を調べる方法。もうひとつは、専門病院に一晩入院して睡眠時の呼吸と脳波を調べる方法です。前者は約3000円、後者は約1万円の費用がかかります(ともに保険適用)。

「いびきをかく=SAS」ではありません。単純ないびき症なのか、SASなのか? 判断するためにも検査と診察を。

 SASと診断されたら、減量、節酒、禁煙など生活習慣の改善に取り組み、必要な方にはCPAP療法を行います。就寝時に専用の鼻マスクを着けてもらい、呼吸が止まっていると判断した場合は、枕元に設置した機械から空気が送り込まれる治療法。機械はレンタルで、治療費はひと月で約5000円(保険適用)となります。

 女性はいびきを恥ずかしがって受診をちゅうちょする方も多いのですが、SASは大きな病気を引き起こす可能性があります。低酸素状態で心臓に負荷をかけるため、最悪の場合は突然死につながることも。ためらわずに受診してほしいと思います。

(さくら内科クリニック・松尾高院長)

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