それでも手術を選択できたのは、実は「バックギャモン」のおかげなのです。バックギャモンは、2つのサイコロの出目に従って駒を進めるゲームです。先読みをしてゲームプランを考えるときに、展開の“場合分け”をします。
手術のことも場合分けで考えてみました。最悪は「死」。ただ、その中にも「何もしないで死ぬ」のと、「手術をしたけれど死ぬ」という2パターンがある。どちらがより最悪かと考えました。その結果、後になって「死にたくない」と思ったとき、前者だったら何もしなかったことを後悔するだろうと思ったのです。
主人はこんなことを言ってくれました。「死ぬ選択はいつでもできる。でも、手術という選択は今しかできない。先のことは手術をしてから考えても遅くないんじゃないか」と。それは間違っていませんでした。でも、想像以上に手術がつらかったので後悔したのも、また事実です(笑い)。
独白 愉快な“病人”たち