途中、点滴棒を押しながら、ドナー提供の長男が笑顔で入室してきた。母に元気な姿を見せたかったようで、またここでも高松さんは胸を熱くしてしまう。
骨髄液の移植は約3時間で終了した。心配していた拒絶反応(生着不全など)もない。ところが6月に入って、「肺水腫」が発症する。
治療のため、集中治療室に2週間入院した。もう体は衰弱しヨロヨロの状態である。しかし、すべての治療が終了し、8月9日に退院した。
自宅でメスの北海道犬、ペリカが待っていた。
「毎日、愛犬を世話することがどんなに癒やしになったことでしょうか」
高松さんは徐々に体力が回復して17年6月、それまで勤めていた特別支援養護学校に連絡。非常勤の教員として社会復帰した。
末期がんからの生還者たち