沖縄で大流行し全国に拡大 「麻疹」に感染しない5つの対策

はしかの予防接種を受ける1歳児
はしかの予防接種を受ける1歳児(C)共同通信社

 沖縄県で麻疹(はしか)が大流行している。私たちは、麻疹対策として何をすべきか?

 3月下旬、沖縄県で4年ぶりの麻疹の流行が確認されて以降、感染がどんどん拡大している。

 日本は2015年3月27日から、国内発の麻疹が3年以上発生していない「排除状態」。今回の流行の始まりは台湾からの旅行者だ。感染に気付かず観光し、施設内の人々にうつしたとみられている。感染症に詳しい池袋大谷クリニック・大谷義夫院長は言う。

「日本は外国からの旅行者が多く、また、日本から外国への旅行者も多い。数年前にも関西空港で1人の感染者から集団感染に至ったケースがある。麻疹が排除状態とはいえ、麻疹流行は今後も繰り返されるでしょう」

 以下の内容について、大谷院長に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

【感染力は強いのか?】

 インフルエンザは主にくしゃみや咳などでうつる「飛沫感染」だ。一方、麻疹は「空気感染」。

「飛沫感染の場合、大きな粒子なので数メートル飛べば下に落ちます。ところが空気感染は小さな粒子が空中に長く浮遊する。感染者の横にいるだけでうつるリスクがある。感染力は、インフルエンザの10倍といわれています」

【どういう人が感染リスクが高いのか?】

「免疫力の強さは関係ありません。20~40代の体力がある人でも感染・発症します。昨年200人弱が感染していますが、20代、30代、40代が多くを占めました」

 感染しやすいかどうかの分かれ目になるのが、麻疹のワクチン接種の有無だ。06年6月2日から、麻疹・風疹混合ワクチンの予防接種が1歳児と、5~7歳未満で小学校就学前の1年間の計2回に定められた。

「2回の接種で99%免疫を獲得できます。その前は1回の接種で免疫獲得は95%。しかしワクチン接種を受けていない人もいます。さらに定期予防接種が始まったのは1978年からなので、それ以前の人は受けていないでしょう」

【予防策はあるのか?】

「ワクチン接種以外にはありません」

 マスク、手洗い、うがいは役に立たない。感染者を避けられればいいが、それも難しい。

「麻疹は早期では風邪の症状に非常によく似ていて、その時点で医療機関を受診したとしても、麻疹と診断されにくい。結果、本人や周囲が知らないうちにウイルスが拡散されるのです」

【どういう人がワクチン接種を受けるべきか?】

 大谷院長は「まずは、血液検査で麻疹の抗体が十分にあるかを調べるべき」と言う。ワクチン接種を受けていなくても、自然感染で抗体ができていることもある。また、ワクチン接種を2回受けたと思っていても勘違いかもしれない。

 抗体の検査もワクチン接種(定期予防接種の対象を除く)も保険適用外。抗体検査は3000円くらい、ワクチン接種は5000円くらいだ。内科などで受けられる。

【重症化するケースはあるのか?】

「肺炎や脳炎の合併症で命を落とすことも。万が一の事態を避けるために、ワクチン接種を検討してください」

 冒頭の台湾からの旅行者とは別に、名古屋で男子高校生の麻疹発症が確認されている。彼は沖縄へ旅行後、通学先のある埼玉で体調不良を感じ、JR山手線や京浜東北線などで名古屋へ帰省し、診断された。その間、接触した人はたくさんいるだろう。

 国内外への大移動が始まるGW前に検討すべきだ。

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