■外来で患者さんの顔をみかけなくなったなと思っていると…
潔い去り際といえば、今年1月に70歳の若さで亡くなった星野仙一さんが頭に浮かびます。プロ野球の投手、監督として数々の実績を残された星野さんは、16年の7月に膵臓がんが見つかったそうです。しかし、病状は家族と副会長を務めていた楽天の球団幹部にしか知らされておらず、訃報を知らされた親しい関係者や友人は耳を疑ったといいます。
私が診ている患者さんの中に、明治大学の野球部で星野さんと一緒にプレーしていた方がいらっしゃいます。星野さんが亡くなったとの知らせを受けたとき、「ずっと親しくしていたのに、自分には何も言ってくれなかった」とひどく落ち込まれていました。「最後に会ったときにまたメシでも食いに行こうと約束して別れたのに、それも果たせなかった……」と、まわりから見ても無気力な状態になってしまったのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」